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新宿医療専門学校2年生片野(かたの)さん医療系で予防に特化した職業は「歯科衛生士だけ」
数ある仕事の中で、歯科衛生士を選んだ理由はなんでしょうか。
片野さんもともと理系が好きで、クラスも理系でした。将来を考えたときに医療系やIT系になるのかなと漠然と思っていましたが、高齢化が進んでいる体感があり、医療の需要が伸びていることから医療系に進もうと決めました。
医療系の中で、看護師さんに憧れていましたが、夜勤があることは正直心配でした。ほかに患者さんに寄り添える職業として、介護士も考えましたが体力的に不安に感じていました。
いろいろと探していた時に歯科衛生士を知って、直感でいいなと感じました。歯科医院に通っているわけでも、身近に知り合いがいたわけでもないですが、自分で調べていくうちに歯科衛生士なりたいと思えました。時期的には高校2年のときでしたね。
調べた中で、ほかの医療系よりも歯科衛生士に魅力を感じた点はどこでしょうか。
片野さん医療系の仕事は、基本的に体に悪い部分がある患者さんを治療する仕事だと思いますが、歯科衛生士は唯一予防に特化した職業というのを知ったのが大きかったです。むし歯になる前の段階で予防できる仕事はすごく魅力的に感じました。病気にならないのが1番なので、事前にケアできる医療職は貴重だと思います。
学校はどのように決めましたか。
片野さんやはり、1日2限で午前中に授業が終わることが1番大きかったです。9時に始まって12時15分までの授業時間なので、午後を自由に過ごせるのは魅力的でした。
直感で選んだ部分があると仰っていましたが、実際に勉強してみて歯科衛生士の仕事をどう思いますか。
片野さんいま臨床実習や歯科助手のアルバイトで実際に患者さんと接する中で、一人ひとりの症例が全然違うし、治療の進め方も異なるので本当に奥が深いなと思います。また、授業を受けてきたことが臨床実習で生かされることも多いので、充実した日々を送れていますね。
臨床実習などでは、歯科診療補助として治療の際に器具の受け渡しをするのですが、うまく受け渡せた時が楽しいです。自分が患者さんの治療時間を短縮することに関われていることを肌で感じられるので、やりがいがありますね。
挫折しそうになった意外な苦労
学校の勉強は問題なくついていけましたか。
片野さんはい、なんとか。ただ、入る前とのイメージとはだいぶ違いました。歯科医院で働くので、歯の治療や術式のことばかり学ぶと思っていたんですが、実際はすごく広い範囲の授業を受けています。全身の骨や内臓のことから、生物学や放射線についても学びます。一番驚いたのは、薬理学の授業も受けることでしたね。
ほかに苦労や大変なことはありますか。
片野さん私は左利きですが、器具がすべて右手用なので、処置を右手で実施するのが大変です。例えば、歯科衛生士の仕事にスケーリングという歯石を取る処置があります。歯茎の近くに施術するため、傷つけないように器具の向きや力加減が繊細で、利き手でも難しい処置です。これを右手でやるのが本当に大変で、挫折しそうになりました。
挫折に近い体験をどうカバーしたんですか。
片野さんやっぱり練習の数を多くしています。授業以外に自主練習を行ったり、家でも模型の歯と実習器具を持って帰って練習していましたね。最近は、バイト先や実習先の歯科医院で模型相手に練習をさせてもらっていて、指導してくれる歯科衛生士さんに「左利きなのによく頑張ったね」と褒めてもらったのが嬉しくて。それでだいぶ救われました。
学校で一番楽しいことは何ですか。
片野さんいまは臨床実習中なので、週に1回登校しています。この時久しぶりに会う友達と情報共有したり、話せるのが一番楽しいです。1年生の時はオンライン授業が本当に多かったので、余計にそう感じるのかもしれないです。
コロナ禍の学校はもう慣れましたか?
片野さんさすがに慣れましたね。でも1年生のときは完全オンラインのため、全く会えない期間が長かったので、友達もいないし、家にこもって授業を受けるだけだったので大変でしたが、少しずつ慣れていきました。次第に学校での実習が始まるようになって、友達ができるともう全然平気になりましたね。
高校より自由な時間は多い!
午前中に学校が終わってから、プライベートは何をしていますか。
片野さん学校終わりはアルバイトしたり、友達とご飯に行ったりしています。臨床実習が始まる前までは歯科医院のほかに、パン屋さんでも週2回アルバイトをしていました。シフトがない日は遊んでいましたね。
高校時代に比べると、専門学校の方が自分の使える時間は全然多いですね。高校のときは毎日学校に通って、部活もして土日も練習していたので、いま思うと自分の時間ってあまり取れなかったと思います。専門学校ではアルバイトの時間もできるし、自由な時間はかなり増えましたね。
アルバイト先の歯科医院はどうやって選びましたか。
片野さん見学に行って決めました。
アルバイトは就職する前にいろいろ知っておいた方がいいってことで、週に1回行っています。
勉強とアルバイトを両立されているんですね。片野さんは特待生と伺いましたが、特待生はどのように決まるんでしょうか。
片野さん1年生のときは入試の日に特待生チャレンジテストがあって、現文と生物、小論文の3つの学力テストがありました。その結果で決まったと思います。
さらに、1年生から2年生に進級するときにも特待生テストがあります。1年生で学ぶ授業の範囲から問題が出る感じです。もちろん、特待生テストだけでなく定期試験の成績なども特待生選考の条件になります。
将来はどんな歯科衛生士になりたいですか
片野さん患者さんに寄り添える歯科衛生士になりたいです。予防やメンテナンスで通い続けていただくためには、まず信頼される存在になることが大事なので、目標を叶えられるように頑張りたいです。
臨床実習先の歯科衛生士が患者さんと1対1でカウンセリングを行い、ホワイトニングを施術しているところを見学させてもらったことがあり、自分の患者さんを持てることがかっこいいなと思いました。ホワイトニングをするには、患者さんが何回も通う必要があるんですが、いつも優しく寄り添っている姿を間近で見ていると憧れますね。
医療系で病気を予防できるところに魅力を感じ、歯科衛生士を目指すきっかけとなったというお話でしたが、実際に患者さんの予防の意識は高まっていると思いますか。
片野さん私のアルバイト先では歯科衛生士がケアする専門の治療台が5台あります。ここでは、歯石の除去や汚れのチェックなど、お口のメンテナンスだけを行いますが、いつも予約はすぐに埋まっていきます。自分の感覚になりますが、こういったことからお口の健康の大切さに気づいている方も増えてきているのかなとも感じていますね。全体ではなんとも言えないですが、もともと歯に対する意識が高い人は高いと思います。一方でそうでない方もまだまだいらっしゃると思います。
1年間勉強した実感として、歯科衛生士に対する思いに変化はありますか。
片野さん大雑把なイメージが具体的になってきた部分はありますね。歯科医師をサポートするだけの仕事だと思っていたんですが、自分で行動するケースも多いし、それが重要であることがわかって、やりがいをさらに感じられる気がします。
メンテナンスで患者様と関われるのはやっぱり歯科衛生士ですし、歯科医師と連携して仕事を進められるやりがいもあるんです。実際に歯科衛生士が気づいて歯科医師に伝えることもあるので、責任感が求められる仕事だと思います。ただのサポートじゃなくて、自分から動いて役に立てるのは頑張りがいのある仕事だと思います。