歯科衛生士の知識は不要!
なりたい気持ちが
一番大事!
日本医歯薬専門学校教員(教員歴6年)菊池(きくち)さん歯科衛生士に魅力を感じた時点で「素質あり」
早速ですが、歯科衛生士を目指す学生はどういった理由が多いですか。
菊池氏大きく2つありますね。小さいときに歯科医院に通って、歯科衛生士の仕事を知って、なりたいと思うパターン。もう一つは、医療系に興味がある中で、国家資格で安定しているイメージから選ぶ形ですね。女性がどんなライフステージにあったとしても、長く働けるのが歯科衛生士の特長なので、ほかの医療系国家資格よりも安定して女性らしく勤められることに魅力を感じてくださる方が多いと思います。
学校としてはどんな人に来てもらいたいですか。
菊池氏歯科衛生士を知らない人がたくさんいる中で、興味を持って「なりたい」と思ってくれただけで、もう大歓迎です。魅力を感じてくれた時点で素質はあると思うので、すごく嬉しいです。
しいて向いている人を言うなら、さまざまな年齢の方とコミュニケーションを取ったり、話しを聞くことがすごく多いので、人と接するのが好きな方だと思います。「ありがとう」ってたくさん感謝される仕事でもあるので、仕事を通して感謝されたい人にもいいと思います。
医療職なので専門的な知識が必要だと思いますが、本当になくてもいいのでしょうか。
菊池氏はい、全然大丈夫です。知識不問としています(笑)。もちろん国家資格なので、入学してからの努力は必要です。ですが、3年間かけて授業でしっかりフォローしていくので、知識ゼロからでも安心していただいて大丈夫です。大事なのは、なりたい気持ちですね。専門学校での3年間は、歯科衛生士になるための勉強しかしないので、なりたい気持ちが一番大事ともいえます。
ただ、そうは言っても知識があるに越したことはないので、できればいろいろ調べてもらいたいのが本音です。学費も安くはないので目的意識をしっかり持って、そのうえで3年間頑張るのがいいですね。
学校に入るためにはどうしたらいいんでしょうか。
菊池氏いまの入試形態の9割がAO入試(総合型選抜)で入学してきます。AO入試は、学科試験がなく、面談を通してやる気と適性を確認させていただく方法です。応募の条件としては『本校で勉強することを強く望み、資格取得や専門就職に向けて強い意欲を持って取り組むことのできる方』としています。そのため、これを自分の言葉で表現できることがポイントです。
歯科医院だけじゃない! 免許一つでいろんな職場で働ける
歯科衛生士の仕事を具体的に知らなかったり、国家資格というだけで目指す人もいると思いますが、入学後にギャップがある場合はどうしていますか。
菊池氏実際にそういう方も少なくありません。とはいえ、興味を持ってくれたことは間違いないので、歯科衛生士になりたい気持ちを育んであげることが大事だと思っています。入学前であれば、オープンキャンパスに参加していただいて、歯科衛生士の仕事を実際に体験してもらうのが一番だと考えています。
高校生で自分の将来の仕事を決めるって結構大変だと思うんですよ。だからこそ、在学中に「やっぱり向いてないかも」「ほかの仕事がいいかも」とか考えることもあると思います。特に1年生はそう感じやすいので、歯科衛生士の仕事や魅力を理解してもらったり、楽しいと感じるような授業を多めに実施しています。具体的には、キャリアデザインという授業があり、歯科医院に行ったり、医療メーカーに行ったり、少しでも将来のキャリアイメージを作る土台ができる工夫をしています。
「歯科医院だけが職場ではない」とわかることは、大きな意味がありそうですね。
菊池氏そこは本当に伝えたいことの一つです。ですので、授業の中では介護施設や保健所、歯科メーカーに行くこともあります。ほかにも総合病院や大学病院などもあるので、歯科衛生士の免許一つでいろんな職場で働けるのは魅力の一つだと思っています。
私自身も歯科衛生士として15年ほどやっていますが、歯科医院で働いたのは4年間だけです。あとは教育の現場や、医療メーカーでセミナー講師などをしていました。学生にはいろいろな働き方があって、自分の目指す形を実現できることを知ってほしいです。
実際に、歯科衛生士学科の教務には、保健所や大学病院で勤めていた方など、幅広いキャリアの方々がたくさんいるので、いろんな職場での経験や魅力を伝えられると思いますね(笑)。
菊池さんから見て、歯科衛生士の魅力はどういったところですか。
菊池氏歯科衛生士の魅力は、人を笑顔できることだと思っています。医院や病院ってどうしても苦痛を抱えてくる人が多い場所なんですけど、そこで治療や施術によって健康になって笑顔になるので、そういったところは一番の魅力だと思います。
あとは、女性はライフステージが変わっていくと働き方を変えないといけないタイミングがあると思うんです。そういう中でも、歯科衛生士であれば、仕事は見つかりやすいですし、自分に合った働き方が実現できるのが魅力だと感じます。
私自身が「歯科衛生士にすごくなりたい!」と思っていたわけではなくて、「白衣を着てたらモテるかも」って気持ちもあったんです(笑)。高校生のときの考えですから、そういうのもあると思うんです。ですが、いま子どもがいる中で自分の好きな仕事ができているのは、国家資格で歯科衛生士だからだとすごく思います。自分も含めて、本当に魅力と将来性はあるといえますよね。
教員として印象深い思い出は…
入学後はどういった勉強をするのでしょうか。
菊池氏もちろん歯がメインなんですけども、お口の中の健康を通して全身の健康を管理していくので、全身についても学んでいきます。1年生から解剖学で全身のことを学んだり、生理学や微生物学、薬理学など医療の基礎も学びます。
あとは、実践力をすごく大事にしています。学校として『変化に対応する力』『経験から学ぶ力』『多角的な立場で考え行動する力』と定義しています。なので、実際にこういった力が身に付くためのカリキュラムを準備しています。
知識だけじゃなくて、しっかり行動に移せる学びということでしょうか。
菊池氏はい、そうです。机の上に向かって勉強するだけではなく、実際に見て感じて経験して学ぶことに勝るものはないので。コロナ禍で難しくはなっていますが、逆にすごく離れた人とコミュニケーションを取ったり、より多くの人と繋がれることをしながら授業をしていますね。
あとは、昼間部は2年生の秋、夜間部は1年生の終わりくらいから臨床実習が始まり、実際の歯科医療現場に赴いて実習をします。900時間という長い臨床の時間の中で、コミュニケーションも上達していきます。最初引っ込み思案だっ学生が、患者さんと接したり、いろんな経験をすることで、大きく成長していく姿が見られるのは教員として嬉しい瞬間ですね。
学生にプライベートの時間はありますか。
菊池氏本校では「一人ひとりのライフスタイルに合った学び」というコンセプトがあり、プライベートと学業の両立を目指しています。両方頑張れるカリキュラムを用意していて、昼間部は14時半まで、夜間部は18時からの授業開始となっています。プライベートと学業をバランスよく両立できるスケジュールにしています。
コロナ禍が続きますが、学校はどう変化していますか。
菊池氏学校も新型コロナによって、オンライン授業と登校授業を併用したハイブリッド型授業を実施しています。来年以降は、新型コロナがゼロベースになったとしても、オンライン授業を継続方針です。
教員をしていて思い出深いことは何かありますか。
菊池氏やっぱり去年ですかね。3年生の担任だったんですけど、新型コロナで開校が遅れて、登校も全然なくて。通常なら3月の国家試験の前日まで、みんな学校で試験勉強するのにそれが全くできなくて。
もう私自身がすごく不安で、ご飯食べれなくなって(笑)。それでも結果は、例年通りの合格者を出せて、全国平均も上回れたので思い出深いですね。本当にすごく嬉しかったです。学生たちが上手に順応していくのがわかったし、卒業生が自らの勉強法などを残してくれているので、それを次につなげていきます。
日本で唯一のコース選択ができる学校!
高校との大きな違いは何だと思いますか。
菊池氏やっぱり目標が明確なことだと思います。専門学校は歯科衛生士になるために勉強するところです。「国家資格を取りたい」「歯科衛生士になりたい」という目的を全員が持っているのが、高校との大きな違いだと思います。仲間意識もすごく強くなりますし、社会人になっても同じ職業なので、つながりが続くことも多いと思いますね。
国家試験でいうと、合格できる人数が限られていたら、みんながライバルになる。でも決まった点数以上で全員合格できる試験なので、クラスメイトが仲間になれるんですよね。試験前はどうしても一人じゃ頑張れなくなるんですが、お互い励ましあったりできるのは大きいですね。
学校の特徴を教えてください。
菊池氏コース選択というのを日本で唯一採用します。来年の4月に入学する昼間部の学生から、2年生で総合コースと審美コースを選べる形になります。総合コースは、チーム医療やインプラント、高齢者歯科など、オールマイティでどんな場所でも第一線で活躍できる歯科衛生士を目指します。
審美コースは、ホワイトニングに特化しています。コロナ禍でもホワイト二ングの需要は高まっていて、ケアグッズの売り上げもすごく上がっています。審美歯科としてホワイトエッセンスというホワイトニングの大手企業と教育提携をして、授業などを行います。
あとは、実際に活躍している卒業生に取材したり、歯科技工士が実際の現場で使う材料や被せ物を作る様子を動画にしたり、学校で習うことと医療現場が違うことがないように、現場が学べる授業に力を入れています。
ここ数年で歯科衛生士を取り巻く環境に変化はありますか。
菊池氏求められているものが多くなっていると思います。それは活躍の場が広くなっていることとリンクすると思っています。これまでの歯科衛生士は、歯科医院で働く印象が強いですが、いまは入院病棟に入って口腔ケアをしたり、高齢者施設で活躍したり、保健所や区役所などの行政の求人数もすごく増えています。
いろんな職種の医療従事者と一緒に仕事をするケースが増えることで、チーム医療に対する知識も必要になってきますし、コミュニケーション力も大事になると思います。その分、活躍するバリエーションがすごく増えているのは感じますね。
現状でも求人倍率は高く、歯科衛生士のニーズは高いですが、今後も将来性はありそうですね。
菊池氏本当に高いと思います。コロナ禍でも歯科衛生士の求人はあまり減っていないです。ほかにも、ホワイトニングの需要が増えていたり、予防に関心を持つ方もすごく増えてきているので、伸びる要素が多いですよね。どんな社会状況の中でも安定して仕事ができるのは強みですし、将来的にもどんどん需要が高くなっていくと思います。