医療従事者のほとんどは
専門学校卒の
医療系国家資格保持者!
新宿医療専門学校副校長小倉(おぐら)さん歯科衛生士は今後もニーズが高まる職業!
早速ですが、歯科衛生士を目指して入学してくる学生はどういった傾向がありますか。
小倉氏人に寄り添う仕事がしたいという思いを前提として、広い意味で安定を求めている方が多い印象です。将来的に長く務めることを考えたときに、仕事とプライベートでメリハリがつけられるところは注目されていると思います。取得した国家資格によっては夜勤があったりしますが、歯科医院は予約制で残業が少ないケースが多いですし、ライフステージの変化があっても復職しやすい職業といえます。
あと、お給料面でも売り手市場というのも相まって、一般の大学卒よりも高い水準で、初任給が25万円ほどあります。最近は、週休3日で月給27万円という求人もある状況で、夜勤はなく、お給料も高い。さらに求人も多いので目指す方にとっては、非常にプラスに捉えられているように思います。
副校長から見て、歯科衛生士の魅力や将来性はどういったものがありますか。
小倉氏本校では「鍼灸師」「柔道整復師」「歯科衛生士」の3つの医療系国家資格を扱っていますが、歯科衛生士はその中でも「健康な方に寄り添うことができる国家資格」であるといえます。医療の世界は悪くなってから来院するケースがほとんどですが、予防やケアなどで口腔内を良い状態に保って、健康な方とも並走する歯科衛生士は、ほかの資格と比べると特殊な面があると考えています。そういう点では生涯にわたって、人の健康に寄り添えることが一つの大きな特色であると考えています。
ほかにも、女性は男性よりもライフステージがいろいろ変わっていきやすい中で、歯科衛生士は復職しやすく、長く続けられる点も魅力だと思います。
昔に比べて歯科の予防の意識は、世の中的に高まっていると感じますか。
小倉氏以前に比べ、間違いなく高まってきています。最近では、口腔ケアへの関心から悪くなる前に来院することが主流になってきているので、予防をメインに行う歯科衛生士の展望やニーズは、今後も高まっていくと思います。
「虫歯が減っていくと、歯医者さんは患者さんが減って困る」と考える人もいますが、ケアや維持も含めた予防については、国民全員が対象でずっと継続していくことなので、歯科衛生士のニーズは高まる一方だと思います。
専門学校卒業をより誇れるように
副校長として学生を見ていて、どういったことを感じますか。
小倉氏大学を卒業した身として、当時を振り返ると周りの友人も明確な理由があって大学に入ったという人は少なかったように感じています。今は副校長を任されていますが、この学校に来て驚いたのは、自分の18歳当時と違い、学生が将来に対し明確な目標を持ち、ひたむきに努力していることです。
決して勉強が好きな学生ばかりが入学してくるわけではないのですが、毎日本当に一生懸命勉強に取り組んでいます。目標が明確だからだと思います。さらに、ちゃんと資格を取って卒業して、その業界で活躍する姿を見ると、とても誇らしく思います。
一般的には、大学より専門学校は学歴として少し劣るような風潮があるように感じています。実際にはそこに上下はなく全くの別物であると考えています。医療現場で活躍している業務の内容を知ればご理解いただけると信じています。当たり前のことですが、大学を卒業しても国家資格がなければ専門的な業務を行うことはできません。
私としては「専門学校は大学とは全く別のもの」というのを改めて定義して、専門学校への理解を世の中に広めていきたいと考えています。
本校の学生によく伝えているのは、仮に誰もが知る優秀な大学出身者がいたとしましょうと。そして災害が起きて、被災地に救援に行ったとする。そのときに、恐らく彼らは瓦礫を撤去し復興にあたり体を使った救援がメインになる。もちろんそれも素晴らしいことですが、鍼灸師や柔道整復師、歯科衛生士のような医療系国家資格を持った人たちは、さらにケガをした人たちに寄り添って、骨折などの外傷への応急処置や体調のケアができるし、歯や口腔のケアもできる。
つまり、国家資格を取得していない人とは全く違うことを提供することができます。実際に過去の災害時にもそういう状況はありました。なので「大学より専門学校が劣るということは一切ない。自信を持って活躍してほしい」という思いを伝えるようにしています。専門学校は、その道に特化した能力をつける場ですから、そのことをより多くの方々にも知っていただきたいです。選んだ道は正しい選択であると自信をもって進んでいけるよう後押しをしています。
お話しを聞いていると、専門学校の独自性や優位性をより多くの方に知ってほしいという想いを感じます。
小倉氏本当におっしゃる通りです。専門学校を卒業し国家資格を取得したことによって誇りを持てる職種に就けることを多くの方に知っていただきたいです。
「とりあえず大学」という考えで進路を選択される方は一定数いらっしゃると思います。私自身も正直そういった考えがなかったわけではないので、考えを否定できません。ですが、今になって考えると、進学については目標があって将来を見据えているかどうかで大きな差がついてくるものだと感じています。とりあえず大学という考えだけでなく、専門性が身につく専門学校にも興味を持っていただきたいと思います。
新型コロナの影響などで世の中が不安定になると、若い世代にも将来に対する意識や考え方に変化が生まれてきそうですよね。
小倉氏まさにその通りです。実際にそういった意識の変化は起きています。コロナの影響があって、授業のオンライン化などの対応で進路指導が通常のスケジュール通りうまくできない高等学校もある中で、学生が主体的に調べて動くことが増えているようです。具体的なデータもありますし、専門学校がより注目されるチャンスをいただいていると感じています。
やはり専門学校は手に職に直結するので、不況に強いというのは実感できます。本校に寄せられる求人情報の件数は、増加の傾向にありますし、今回のコロナ禍では専門学校の強みがより顕著に表れていると思います。
資格だけならどの学校でも同じ! 差別化は活躍するまでの導線
先ほど卒業後に活躍している卒業生の話題がありましたが、卒業後も学生を気にかけているんでしょうか?
小倉氏ものすごく気にかけています。私は学生部長も兼任していて、いわゆる就職サポートをする部署なのですが、卒業してから半年経った10月に、就職先の企業様に対し卒業生の就業状況についてアンケートを取ることを3年前から実施しています。本校が学生に対し行った就職サポートが適正であったのか、改善すべき点は何かを常に意識しより良いサポート内容にしていけるよう体制を整えています。
私個人としては、学校運営を企業のように捉えています。企業であればいいサービスを提供することで、リピートとしてくれたり、口コミで広まったり、その人が喜んでくれれば、自分たちに還元されるロジックがあるわけです。
学校運営も全く一緒で、教育内容はさることながら、学生が目指す歯科衛生士になれる就業の場を提案し、内定を取るまでが専門学校の価値提供だと考えています。
そもそも日本全国どこの学校で学んでも取れる国家資格自体は同じものになります。専門学校を差別化するとしたら、取得した国家資格を最大限活用できる場を、ミスマッチのなく提案できるかであると考えています。そのために、就職先企業様へは積極的に訪問し、市場の情報の取得に努め学生に伝えられるよう対応しています。
また、就職先企業様に対しては本校内で実施しているキャリア教育について関心をお持ちいただくために、本校学生部Instagramなどを活用し見える化を図っています。そのアカウント内では、社会人としての心構えを学生に伝えている様子や、現場で活躍する卒業生を紹介することで、在校生に対してもより就職に関心を持ってもらえるよう工夫を続けています。就職先企業様について在校生が知る機会にもなるため、始めてよかったと感じています。変化する業界のニーズに対し、学校は保守的になるのではなく、積極的に変化していくことが大切であると考えています。
では、具体的に学校の特徴や魅力について教えてください。
小倉氏実習先が豊富な点は、本校の魅力の一つです。単に歯科衛生士といっても、一般歯科や小児歯科、審美歯科、介護保険施設、行政、歯科材料メーカーなどでも活躍することが可能です。学生のうちに直に現場を見ることで、自身で感じたことをもとに進路(就職先)を決めることができます。
また、実技で使用する医療器材については最新のものを使用しています。即戦力重視の教育を行い、学生の就職がより有利に働くよう授業を構築しています。
それと、コロナ禍でも歯科医院での臨床実習ができることも特徴といえます。コロナなどの影響がある場合に、文部科学省からは臨床実習に代わる授業を現状してもよいことになっていますが、本校は理解のある歯科医院様と提携を続けているので、実際の臨床実習を継続することができております。歯科医院でしっかり臨床実習をすることで、新卒時の即戦力になるかどうかにも大きく影響するはずです。
複数の学科があり、共学のような雰囲気が楽しめる
学校には、鍼灸師や柔道整復師を目指す学科もありますが、複数の学科があることのメリットはありますか?
小倉氏共学のように通えることがメリットとして挙げられます。男女の比率は女性が若干多いぐらいで、一般の歯科衛生士の専門学校とは大きく違うところです。クラブ活動もありますし、学園祭への参加や、オープンキャンパススタッフをすることで、学科を超えた交流があるのは特色だと思います。
副校長から見て、歯科衛生士に必要なスキルや能力はなんだと思いますか。
小倉氏どの業種でも言えると思いますが、主体性があって謙虚で学ぶ姿勢がある人だと思います。あと、学校のポリシーにも通ずる部分として「相手の立場に立ったコミュニケーションが取れる人」「人の気持ちが分かる人で、人に寄り添うお仕事をされたい方」というのがあって、こちらについても必要な気質であると感じています。
本校としては、「専門教育」と「キャリア教育」の2つを両輪としています。「専門教育」は歯科衛生士に必要な知識や技術を身につけるための専門教育、「キャリア教育」は社会人基礎力を養うための教育です。
入学時に医療的な知識が全くなかったとしても、人に寄り添う仕事に興味があれば、3年後には医療従事者として誇りを持った歯科衛生士になれるようサポートしていきますので、ご安心いただければと思います。
ここ数年で、歯科衛生士を取り巻く環境に何か変化を感じることはありますか?
小倉氏売り手市場であることが本当にいい方向に影響を及ぼしていると思います。業界全体として労働基準法の遵守や労働環境の見直しが図られていて、社会保険の完備や育休・産休制度などが明らかに充実してきています。学校としてもさらによくなるように寄与していきたいです。
今後、歯科衛生士を目指す人がもっと増えるには何が必要だと思いますか。
小倉氏さまざまあると思いますが、歯科衛生士は独立開業権がないので、歯科衛生士の資格だけで歯科医院を開くことはできません。一方で、鍼灸師や柔道整復師は独立開業ができます。
いまは歯科衛生士が活躍する職場や分野が広がってきているので、いずれは独立開業ができる資格になれば、もっとなりたい人は増えると思います。女性の仕事と思われがちですが正直ナンセンスで、お給料も高いですし、現在でも男性が就くことのできる仕事なので、そういった面でも目指す方が増えたら嬉しいです。