歯科衛生士は通過点！
学校唯一の男子学生の
夢とは？

男性が歯科衛生士を目指す理由

男性が歯科衛生士を目指すのは珍しいですが、きっかけを教えてください。

押川さん歯科衛生士の仕事にすごく魅力を感じたというよりは、兄の仕事を手伝いたいというのがきっかけですね。

具体的にどういうことでしょうか。

押川さん年齢が9つ離れた兄がいて、ホワイトニングサロンを立ち上げて、いまでは歯科医院などを経営しています。自分が高校2年生の時にホワイトニングサロンがスタートしたんですが、最初はお手伝いみたいな形で、バイトとして働いていました。
そのあとに、兄が歯科医院も運営することになり、歯科衛生士が必要になって。女性は結婚や妊娠などで離れてしまうことがありますが、男性はそれがないと思って。そしたらずっと手伝えるなと思って目指しています。

お兄さんのために歯科衛生士を目指しているってことですか？

押川さん最初は兄の手伝いができればって気持ちでした。でも、自分の将来のためでもあるし、最終的には会社の手伝いや経営もしていきたいので。

お兄さんとはかなり仲がいいんですか？

押川さんですね、仲はいいと思います。年歳が近いとケンカもあるんでしょうけど、だいぶ離れているので、お互い尊重していると思います。ケンカは1回もないですね。
高校時代から学校終わってそのままバイトに直行する毎日で。平日は2～3日、土日も両方やって、終わったら兄と一緒に家に帰るって生活でした（笑）。バイトでは接客をしていたんですが、高校生とか言っていられないし、周りにも迷惑かけちゃうので大変ではありましたね。

歯科衛生士の資格は「幅広い将来の強み」

実際に歯科衛生士を目指して、何か変化はありますか？

押川さんやっぱり歯科衛生士が国家資格というのが1番すごいし、重要だと思います。資格1つ持っていれば、ずっと働けるわけですから。自分で言うのもなんですけど、僕の場合は男性なので、結構レアだと思うんですよね。
あと、資格があれば、歯科関係の営業をする際にも説明できるし、説得力も生まれる。インプラントや機材・機械も実際に使うことができるので、そういう面でもすごく強いと思います。あと、歯科医院の運営や経営に関しても資格や経験は幅広い強みになると感じます。

男性の歯科衛生士の道として、営業や経営に生かせるという考えが強そうですね。

押川さん本当にそうです。歯科衛生士としてずっと働くというだけじゃなくて、国家資格を活かして働く形はわりとあると思うんですよ。特に男性はまだ珍しいので、そこはチャンスでもあって。なので、男性がここまで少ないのは不思議ですし、もっと増えればいいのにとは思っていますね。

いま2年生で多くのことを学んでいると思いますが、授業は大変ですか。

押川さん1年生のときはあんまり勉強してなかったんですけど、2年になって意識が変わってきましたね。「ちゃんとやらなきゃダメだ」っていう気持ちが強くなってきて。勉強も専門分野になってくるので、やっぱり難しいところは出てきますね。

「ちゃんとやらないと」と思ったきっかけは何ですか。

押川さん1年生の後半になって、兄の会社がわりと大きくなったことが一つありますね。資格を取って、ちゃんと仕事をして「自分が中心にならないと」って意識が高まった感じです。
あと、学校でも男性が少ない分、なるべく上位になった方が、いろいろ示せることはあると思うので、ちゃんとやらなきゃって気持ちが自分の中で強くなりました。

好きな授業はありますか？

押川さん僕は審美がすごくやりたいですね。ホワイトニングや矯正、インプラントは兄の歯科医院でもやっているので、早く勉強したいと思っています。いま補綴学（ほてつがく ※1）をやっているんですけど、思ったよりも難しいですね。
あと、学校で習ったことをそのまま仕事で説明できたり、使い方がわかったりするので、授業自体が役立ちますね。英語の勉強もあって、外国の方が来たときにコミュニケーションできるような授業で楽しいです。
（※1）歯が欠けたり、なくなった場合に入れ歯などの人工物で補うこと

学校内で男性一人だけ！　その本音は…

学校はどうやって決めたんですか。

押川さん3～4校ぐらい回りましたけど、そもそも男性が入学できるところが少ないので絞られるんです。わざわざオープンキャンパスに行って、最後に「男性は取ってない」って言われたこともありましたね（笑）。最終的には国家資格の合格率や、アクセスの良さで選ばせてもらいました。

クラス内に男性はほぼいないと思いますが、すぐ慣れましたか。

押川さん男性は僕だけですね。夜間部はわかりませんが、昼間部は僕一人です。最初は居心地の悪さがあったんですけど、新型コロナでクラスの人と全然会えなかったので、そこまで影響はなかったです。ただ、数人でも男性いれば、共有できることはたくさんあるのでありがたいですけど。
2年生になって登校が増えたら自然に慣れてきて、大きな問題は特になかったですね。周りも男性がいることに慣れてくれたのもあると思います。

いまは普通に学生生活を楽しめていますか？

押川さん普通に楽しいですね。2年になって実習も多くなって、友達もできました。実際に遊びに行くこともあるし、楽しめていますね。授業はほとんどオンラインですけど、あまり気にならないです。わからないことをすぐに質問できないのがデメリットですけど、メモをとって授業終わりに聞いたりしています。
プライベートでは筋トレにハマってますね。以前にもやっていたんですけど、新型コロナで2年間ジム行けてなくて、体が衰えてきたのでまた始めました。自分はなんだかんだインドアで、あまり出かけたりしないので、いまの状況にそんなに不満はないですね。

将来的にやりたいことはなんですか。

押川さん卒業したら歯科衛生士として働くとは思いますが、あくまで通過点という感じですかね。そのあとは、兄の手伝いの延長で独立するのもいいかなって思っています。歯科医院のコンサルティングとか、経営とかの講義もやってみたいです。そのうえで、歯科衛生士の肩書があるのは大きいと思っています。
たとえば、お医者さんと話しをするにも経験や資格があれば理解度が違う。相手も資格を持っていれば、素人とは思わないので耳を傾けてくれやすい。男性が歯科衛生士の資格を持っていることが話のフックになることもあるでしょうし。あとは、スポーツジムの運営とか、トレーナーもしてみたいですね。

19歳とは思えないほどしっかりしていますが、なぜでしょうか。

押川さん兄の影響はあると思います。兄がシャキッとしているんで、こっちもそうなりますね。あとは、うちの家が全員自営業をやっていて、おじいちゃんもそうだったので、マインドがそうなのかもしれません。
あと、小学校の頃はわりと太っていて、そういう自分がずっと嫌で。それで自分の性格や意識を変えたいと思って、中学ぐらいから筋トレを始めて、それで結果が出てからポジティブになったのはあると思います。引っ込み思案だったのも、筋トレを続けて意識が変わって、自分に自信が持ててコミュニケーションもだいぶ変わりましたね。
やっぱり継続することが大事っていうのを知りましたし、変われたことで前向きになれるのも経験としてあるので、そういうのがいまにつながっているのかもしれないですね。

関連リンク